老人の詩
僕は少し動画で撮影をすることが出来る。
で、詩人の人たちを撮影したいなと思っている。
詩人たちが朗読する様を撮影したいと思っている。
それは、船旅のスタッフでパレスチナ難民キャンプに行ったときのこと、
泊まった家の人と食事をしながら話しているとき、
ふと、なにか好きな詩がありますか、とたずねた。
すると、その人、(老人でその地区の会長さんで、翌日もスピーチした)が
詩を読み上げ始めたのだ。
僕はその様子をビデオカメラで撮影した。
その時の緊張感、なにか言語を超えて伝わるものがあった。
意味は分からなかったので手帳に記してもらい同行した通訳に訳してもらった。
土地を追われたものが、生れたところに帰りたいと願う詩だった。
それは別に有名な詩人の書いた詩でなくて、その老人が書いた詩だった。
その手帳は今でも大切に持っていて時折見返す。
日本に帰って来てから詩人の朗読を撮影する機会を見つけては記録している。
記録してけば誰かに届くときもあると思う。
それが誰かを励ましたり、傍らによりそうものであるかもしれないから。